2023年4月④
リアルな理想の人格は瀬島龍三みたいなのがいい。常に無表情で本音は絶対言わない立身出世のためだけに生きてるような切れ者。ものすごい世渡り上手で大本営の上官にも、シベリアのロシア人にも、伊藤忠の上司にも取り入って出世しまくりみたいな。
考え方
価値中立的に考えるコツは、人間が野生動物を観察するような第三者的視点で見ること。たとえばライオンがシマウマを食べることを残酷だと感じないというのは第三者的な視点だから。あるいは宇宙人が地球人の生態を調べるように価値判断を停止して良い悪いは考えずどういう行動様式、生態かを観察する感じで見る。基本的に自分がどういう前提、視点で考えているか余り意識してないことが多いので、意識的に自分の視点を切り替えるといろいろ見えてくる。
視点の切り替えというアイデアは、水平思考で有名なエドワードデボノの本で学んだ。
綱引きのアナロジー
たとえば、何かが動いてる、あるいはある場所でうろうろしているとすれば、それは綱引きをしてる途中だと考えるとわかりやすい。たとえば円安に動いているのはおそらく協調介入でなく、アメリカの金融緩和の出口戦略が話題になっているから。
普段から、この動きの後ろ側には何があるのか考えておくことで、これがこう変われば、こっちに動くみたいに考えられる。たとえばトヨタがブレーキ問題で下がっていた時は、それが圧力で上がらなかった。濡れ衣が晴れたらトヨタは上がりだした。上がる要因、下がる要因はみんな注目するが、上がるのを阻害する要因、下がるのを阻害する要因は見落としがち。トヨタの例ははじめは下げ要因であり、その後は上がるのを阻害する要因になった。綱引きで動かないからといって、力がかかってないわけではない。
大きく分けて4つの要因。上がる要因、下がる要因、上げ阻害要因、下げ阻害要因。書き出しておくと便利。あと変化と水準を混同しないこと。バブル崩壊直後に、日本経済の水準はまだまだ高いといっていた人がいるが、方向性は下だった。重要なのは水準でなく変化や傾きのほう。
経験
完璧な本というのは無くて、自分で経験したり、いろいろな本を読んで自分で取捨選択して自分なりの考え方を身に付けるしかない。変化と水準の混同とか良くあるけど、実際に意識したのは『株式相場のとらえ方―投資環境の大勢変化を読む』を読んでから。知られざる名著。
私利私欲
自分の甘さを感じる、昭和史に興味があっていろいろ読んで、戦争前後のろくでもない意思決定をいろいろ知識としてしっていたくせに、まだ世の中に幻想があった。通常状態で自分の利害と保身を追及するだけでなく、非常時でも利害と保身が最優先するという現実から目を背けすぎていた。この世の多くは非常時でも自己利益と保身が最優先する。その結果社会がどうなると関係ない。これは人間の生態なんだ。どうして俺は直視できなかったのだろうか。財務省も日銀も景気を良くするインセンティブはあまりない。彼らは景気と関係なく給料はもらえる。むしろ世間で景気が悪くなるほど民間と比べて相対的に給料は高くなる。財務省は増税することで権限が強化。不景気で税収が少ないほど予算配分で他省庁をより強く締め付けやすい。役人は権限の拡大、天下り先の拡大がインセンティブ。政治家は好景気であるほど支持率があがるので景気を良くするインセンティブがある程度あるはず。(クリントンがモニカ・ルインスキー事件を乗り越えたのは景気がよかったからといわれてる)実際は財務省の言いなりに成りやすいわけだが。
政治家操縦術
橋龍も財務省にそそのかされて、大丈夫だというから、消費税上げて景気を失速させたしな。政治家は細かいことはわからないから官僚に頼らざるをえない。このため官僚は自分たちの都合のいい考え方を吹き込むことで政治家を操縦することができる。
元役人がかいた「仮説思考」という薄い本に、A省(多分著者の出身母体の農水省)が細川政権時の細川首相の行動パターンについて仮説を立てた例が載っていた。それによると、細川首相は人から聞いた話を鵜呑みにして自分の意見のようにしゃべる傾向があるという観察から仮説を立てて実際に、レクチャーした後にどういうことをしゃべるか観察したところ、実際にその仮説どおりに行動したので、主義主張はあまりない人物であり、レクチャーすれば操れると判断してどんどんレクチャーしたという話がある。まさに政治家操縦術である。
人間
どれほど経済学者なり評論家なりが立派な正論を言おうが、利害と保身と利権と感情の前では無意味である。現実は利害と保身と利権と感情で動いている。発言してる人間も発言に納得している人間もそこが分かってない。現実を動かせない「べき論」など暇つぶしに過ぎないのだ。正論家ほど、どうやれば自分の意見が通るのか、現実をどうやって動かすのかとかまで頭が回らない。正しい意見を言えばそれが通る、あるいは通るべきと思っている人間は現実が分かってない子供だ。だから通す、動かす工夫を考えない。
社会規範
社会規範を真面目に受け入れちゃったり、深く考える人間ほど鬱っぽくなったり、哲学とかに行ってしまう。
社会規範や正義は支配層が被支配層を支配するためのイデオロギー兵器というか建前に過ぎないというのがプラトンの国家に出てくるトラシュマコスの議論ね。社会規範とか道徳とかそういうのはくだらん建前、人生は闘争、人は人に対して狼、勝てばいいんだよと考えて好き放題やるヤツが最後に勝つ